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館長からのメッセージ

館長からのメッセージ

図書館長 大藪千穂
                           図書館長

                             大藪 千穂

  

  

 みなさん、こんにちは。このたび図書館長に就任することになりました。どうぞよろしくお願いいたします。メッセージというほど大それたことは書けないので、図書館との思い出を書いてみようかと思います。


 私が最初に図書館を知ったのは、小学1年生の時です。その頃、子どもたちの間で大人気の本がありました。給食が終わって昼休みになると、みんな図書館に我先に走って行き、開くのを並んで待ち、その本を借りようと必死でした。私も走りましたが、足が速くないので、毎日がっかりしていました。するとある日、1番に図書館にたどり着いた同じクラスの男の子が、借りた本を「はい!」と言って私に渡してくれたのです。今となっては、なんの本だったのか肝心なことも忘れてしまいましたが、その時のキュンとした気持ちだけは今でも覚えています。邪道ですが、本と図書館が大好きになった瞬間です。そして図書館といえば、まずはその思い出から始まります。

 時は流れ、大阪市立大学の院生になりました。現在は立派な図書館ですが、その頃は今にも壊れそうな古いエレベーターがありました。ボタンを押してドアを閉めると、昔の映画に出てくるような、格子型の蛇腹式内扉があり、これも自分で閉めます。ガッタンとおもむろに音がしてから、かなりゆっくり動くので、途中で止まってしまうのではないかと、いつもヒヤヒヤしながら乗っていました。しかも冷房がないので、夏はびっしょりになりながら文献を調べたものです。

 大学院生の時にイギリスで遊学していましたが、大英図書館のReader Passの登録をして、何度も足を運びました。あの重厚で芸術的な雰囲気にはいつも圧倒され、毎回感動していましたが、同時に天井まで並んだ本を見て、この国は地震が少ないんだな。と感じたものです。またずいぶんと大学生にとって図書館の位置づけが日本とは違うように感じました。講義の最初に教授が授業で読むべき参考図書の一覧表を配布しますが、毎時間、講義が終わったとたん、学生はダッシュして図書館に向かい、その本を手に入れようとします。それがないと次の講義までに提出するレポートが書けないからです。「走って図書館に行く」。ふと小学生の時の記憶がよみがえりました。

 さて岐阜大学の図書館はどうでしょうか。残念ながら講義後、図書館にダッシュしている学生は見たことがないですね。それでも数名は静かに勉強しています。今でも集密書庫に入ると、あのなんとも言えない匂いと静けさ、知の宝庫に幸せを感じ、学生時代に一瞬で戻ります。そして一生かかってもここにある本は読めないなぁ。と思うのです。岐阜大学の図書館も時代とともに変化しています。明るくおしゃれで開放的になってきました。また本だけでなく、電子媒体や展示のような形態も増えています。学生の皆さんはダッシュしなくても本が手に入る喜びを感じてください。学生という時間に余裕のある時にこそ、図書館に浸ってみてください。それがきっとその後の人生を豊かにしてくれるはずです。